このブログは「小金井発!芸術文化を書くこと/伝えること講座」運営の一環として、東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究室小金井プロジェクトチームによって運営されています。
ここではプロジェクトメンバーが見つけた「芸術文化を書くこと/伝えること」の情報を収集&発信していきます!
フリーペーパーやウェブサイト、文献の紹介。公募の執筆情報やレクチャーなど「書く場所」情報。もちろん講座の様子も…
プロジェクト内だけで留めておくにはもったいない!そんなもったいない精神に支えられ、ほぼ毎日更新中です!!
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favorite|ギャラリー巡りのお供に

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favoriteには都内のギャラリーのスケジュールとマップが掲載されています。ギャラリーの住所などの基本的な情報。作家に展覧会名と会期。写真や解説はありません。シンプルな情報(2ヶ月分)と折りたたみの手に持ちやすいサイズギャラリー巡りにはミニマム(むしろマキシマム?)なメディアかもしれません。favoriteは掲載されたギャラリーに置いてあります。たとえば次にどこへ行こうかと迷うとき、または行こうと思っていたギャラリーへの行き方を確認をするときなんかに使えます。

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最新版には36のギャラリーが掲載されていますが、「CONTEMPORARY ART EXHIBITIONS IN TOKYO」という文字が印刷されているように、現在注目のギャラリーばかりです。清澄白河、神楽坂、恵比寿。近年、このような場所で現代作家を扱うギャラリーが集まって運営されていますが、その情報も一目で分かります。

村上隆や奈良美智と関係が深い小山登美夫ギャラリー。favoriteに掲載されているギャラリーとしては代表格とも言えるギャラリーです。その運営を行っている小山登美夫さんは著書『現代アートビジネス』でfavoriteのギャラリーの掲載数が100くらいに増えていかないかなぁ(そんな口調ではなかったですが)と語っています。ギャラリー立ち上げ前に、武者修行を兼ねて渡米。ニューヨークでギャラリーガイドを片手にかたっぱしからギャラリー巡った小山さん。小さなものから大きなものまで。その画廊の数の多さ、扱う作品の多様さに驚きます。肖像画のみでも成り立っているギャラリー。そこまで巡ることで、以下のようなことに気がつきます。

 考えてみれば、「よい作品」だけが売れるというのもおかしな話です。アート以外の分野の売買でも、よい品物が売れるわけではありません。安いものや粗悪なものだって買う人がいますし、売れるわけです。そう考えれば、どんな作品でも何らかの理由で売れるし、またそれが現実なのです。
 「よい作品なのに売れない」というアート関係者は多いですが、「よい/悪い」「好き/嫌い」と「売れる/売れない」はまったく別な話なのです。つまり、どんな作品でも、交換が成り立てばマーケットができ、お金の流れが生まれる。この認識ができたことがアメリカ旅行での一番の収穫でした。36頁。


favoriteはこの驚きのお供だったニューヨークのギャラリーガイドと重ね合わされているように思います。ちなみに2008年7-8月号の掲載ギャラリー数は36。ニューヨークほど多様ではないかもしれませんが、ひとまず、favorite片手に東京のギャラリーをかたっぱしから巡ってみる。好きなもの、嫌いなもの、面白いもの、つまらないもの…色んな表現に出会う。それが自分にとって「よい」作品に出会える糸口になるかもしれません。

(SR)

現代アートビジネス (アスキー新書 61) (アスキー新書 61)現代アートビジネス (アスキー新書 61) (アスキー新書 61)
(2008/04/10)
小山 登美夫

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課題ルポ、更新!

前回の講座から、1ヶ月が経とうとしています。
来週末から講座はいよいよ次のラウンドへ突入です。

これまで3回の講座では、
「言葉」を意識することをテーマとしてきました。
書くための調査方法や具体的にはインタヴュー手法、
その材料でどうやって作品までつくりあげるか。

そのまとめとして、受講生には
ルポルタージュが課題となっています。
テーマは自由。締切は2回、時間差で設定してあります。

課題は原則公開ですが、その前に、
提出された課題には講師のコメントがつきます。
それを受けて公開に向けて再調整を行うのですが、
このたび、ルポ1本目が公開となりました!

今後もアップしていきます。お見逃しなく!
冒頭部分とリンク先は以下をご参照ください。

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「料理のアルチザン 永瀬義祐のモノローグ」

東京都の西郊・小金井市。武蔵小金井駅から市の真ん中を貫く小金井街道を北に6、7分歩いたところにある小さなビストロのマスターが、今回の話の主人公だ。
 彼、永瀬義祐は、ホテル・オークラでしばらく修行し、国立でシェフをやり、さらに小金井で店を出した。店の名はフランス語で“Vin de Rueヴァンドリュ”。直訳すれば、通りの葡萄酒だから、酔っぱらい通りだと思っていた。なんのことはない、息子の名前「竜道(りゅうどう)」の「竜」の音と「Rue =通り=道」に二重にひっかけて名づけたという。
 たまさか夜11時を過ぎたころ、小金井街道を歩いていると、店の扉越しにカウンターに突っ伏して仮眠している彼の姿を見かけることがある。ああ、疲れているんだなと、声をかけるのは避けていた。
 ある日、彼の店で遅いランチを食べ終わって一息ついていると、彼は表にクローズドの看板を出してカウンターに戻り、話しかけるともなく話しはじめた。

…続きはこちらで。



ビューティフル・ルーザーズ|ZINE(ジン)の作り方

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『ビューティフル・ルーザーズ』。日本語では美しい負け犬。90年代アメリカの若者たちが集まってギャラリーをつくる。今では、有名なアーティストとなり、ひとつのムーヴメントを生み出した場所として評価されています。そのギャラリーを運営していたアーロン・ローズが監督した当時の仲間たちのドキュメンタリー。この映画上映にあわせて原宿のラフォーレミュージアムで展覧会も開催。関連企画として以下のイベントが行われます。

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8月2日(土)
13:00-15:00 アーロン・ローズ:「ZINE(ジン)の作り方」

映画「ビューティフル・ルーザーズ」の監督、そして今展覧会のキュレーターであるアーロン・ローズが、ジンを立ち上げるべきには、どんな準備をすれば良いのか、その基本的なコンセプトから運営方法を教えてくれます。*ジンとは?:「有志の人々が制作する、たいていの場合は少部数の、非商業的な(利益を出すことが第一の目的ではない)出版物」のこと。ミニコミ・同人誌。
15:30-17:30 スティーヴン・パワーズ(ESPO):「サイン・ペインティング(看板)講座」
「ビューティフル・ルーザーズ」に出演しているアーティストESPOことスティーヴン・パワーズが、サイン・ペインティングの基本を教えてくれます。どのようなペイントで、どんなブラシを使い、効果的なスタイルと文字タイプを伝授します。
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これで「ZINE(ジン)」という言葉をはじめて知りました。ネットでキーワード検索をしてみると、出版のジャンルとして、そこそこ定着しているようです(→「zine」は雑誌の未来像?)。小さな音楽レーベルや個人アーティストまで。デザインや写真に洗練されたもの多く、ZINEがひとつの表現の場所として機能しているように見えます。

「ビューティフル・ルーザーズ」に登場する人々に共通するDIY(Do it yourself)という方法。自分のやりたいように好きなことを表現する。日本だったら「失われた10年」。アメリカでも社会的に勝ち負けがフォーカスされたのかもしれませんが、同時に90年代は、パソコンやインターネットの発達のように、自分の表現を多くの人々へ簡単に伝える技術や機材が発達した時代でもあったように思います。自分で楽器を演奏し、録音し、好きな音楽をミックスし…DIYの代表格ベックは「私は負け犬さ~♪(I'm loser baby♪)」と歌って大ヒット。この「loser」は90年代を代表する1曲ともなりました。

好きなことを表現をしたい。誰かへ届けたい。伝える方法は結構ある。しかも、それほどお金をかけずに。そして、それを理解し、面白がり、求める。そういう価値観も何となく共有されているように思います。ZINEはそんな時代にフィットするメディアなのかもしれません。(SR)

Whatcha Mean, What\'s a Zine?: The Art Of Making Zines And Mini-ComicsWhatcha Mean, What\'s a Zine?: The Art Of Making Zines And Mini-Comics
(2006/06/26)
Mark ToddEsther Pearl Watson

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アルテピアッツァ美唄

自分の思っていることを素直に伝えることはとても難しい。感情と言葉がちぐはぐになりがちだ。
7月はじめ、安田侃さんというイタリアをベースに世界的に活躍している彫刻家のお話を伺う機会に恵まれた。技術や心で作品を表現する力もさることながら、安田さんがアーティストとして作品を創作しながら生きて闘ってきた歴史、人生そのものが伝わってくる語りであった。

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場所は、「アルテピアッアァ美唄」。かつて炭鉱街として栄えた美唄にある「奇跡の空間」である。安田さんと彼の仲間たちが、18年もの歳月をかけてすこしずつ手を入れ、廃校を見事な芸術空間に甦らせた場である。安田さんの作品約40点が、エゾリスが遊ぶ美しい自然の中に点在し、幼稚園、カフェ、レクチャー・ルームもある。安田さんによれば、この幼稚園は日本一とのこと。確かにそれも当然。なにせ、こどもたちは豊かな自然と安田さんの作品の中で水遊びやサッカーしながら育つのだから。

しかし、この「奇跡の空間」も他の文化施設同様、財政難にあえいでいる。美唄市から指定管理者として受託されているNPO法人が運営しているが、夕張市同様、かつての炭鉱町であった美唄市の財政も決して豊かではない。安田さんは、「アルテピアッアァ美唄」には、ここを愛する人やスタッフ、豊かな自然と時間、なんでもあるけれど、無いのは「金」だ、と声を絞り出すようにして言い切った。入場料は絶対取らない。回りの空間との垣根は作らないとも。その方針を貫くのは決してたやすいことではない。

「アルテピアッアァ美唄」が生まれた同じ頃、バブル景気に浮かれていた日本では、お金に任せてつくった施設が全国各地に建設されていた。「ハコモノ行政」と揶揄された施設には心と時間は投入されなかった。結果、いまや自治体のお荷物と化している。

他方、その当時から、この空間を生み出す努力を重ねてきた方々がいたことに、日本もまだ捨てたものではないと感動を覚えた。

時間と愛情と手間をかけるだけかけられて生み出されてきたこのような「奇跡の空間」をもっと多くの人々と協力して支えていく必要があるのではないかと思う。この努力と存在を例外に終わらせないために。(KS)

the london paper

イギリスのロンドンはフリーペーパーの激戦区だとよく知られています。朝刊には『metro』があり、夕刊には『Lite』と『thelondonpapaer』があります。平日のみ発刊されるフリーペーパーは地下鉄に置かれたり、出入り口で配られたり、朝晩ロンドンの活気さを感じさせます。今回は『thelondonpapaer』を簡単に紹介します。

thelondonpaperのターゲットは新聞を読む時間がない、政治や経済などのニュースにそれほど興味がない若い年齢層です。カラー刷りで写真が多いうえ、読みやすい英語で書かれており、短い記事で、ざっと読み飛ばすことができる特徴があります。

thelondonpaperのロゴを見ると、thelondonは黒字、paperは紫色にデザインされています。このロゴをデザインしたArt DirectorのAl Trivinoは最近同社の新聞「Sunday Times」の新たなデザインもしたようで、新しいデザインは色の使い方が重要なようです。Al Trivinoは「読者はすべてのページにカラーを使うことは「楽しく」「役立つ」と思っており、(デザインを変更することで)より読みやすくなった(readers thought colour use on every page was "enjoyable" and "helpful' and that the paper is now easier to navigate)」と語っています(*1)。

内容は、一般ニュースからファッション、健康、音楽・演劇・美術、スポーツなどの情報が充実していますが、一般紙と異なり、社説や金融系の情報はありません。新しい読者層の特徴を示していると思われます。2006年9月発刊以来、thelondonpapaerは現在毎日40万部を発行しているそうです。発刊のための費用はほとんど広告からなりますが、収支のバランスが取れるもう一つの理由は大物の記者を使わず、新人の採用とブログや読者のフィードバックを活用することにあるようです。台湾台北市の地下鉄沿線に配られた「爽報」も、この政策を取り入れ、ブログの文章を紙面へ反映させています。その点で、普段3Dの媒体しか興味ない新しい読者層も開発することができたそうです。
 
一方で、フリーペーパーの発刊によって、ロンドン市には深刻なゴミ問題も生れたそうです。2007年にロンドン議会では、thelondonpapaerやLiteに対し、各配布場所から半径100メートル以内を清掃するとともに、捨てられた新聞の処理を命じる法的措置まで行っています。この新たな措置により、両社がロンドン中央部でフリーペーパーを配布するためには、許可の申請が必要となります。民間では「Project Freesheet」というグループが立ち上がり、フリーペーパーの問題をウェブ上で発信し、路上に捨てられ、ゴミになったフリーペーパーを写真で見せたり、処分をしたりする活動を行っています(*2)。

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ちなみに、現在thelondonpapaerの公式ウェブサイト上ではその日に発行されたペーパーの電子版を読むことができ、しかも普通の新聞紙を開くような感覚で読むことができます。ロンドン市から遠く離れた私たちもロンドン市民と同じようにthelondonpapaerを楽しむことができます。(HM)

*1 「Art director Al Trivino on Sunday Times redesign」
http://www.editorsweblog.org/newspaper/2008/07/art_director_al_trivino_on_sunday_times.php
*2 「Freesheets told to clean up London」
http://www.guardian.co.uk/media/2007/jul/10/pressandpublishing2


丸の内アートブック・フェスタ

アート関連本をまとめて扱ってくれるブックフェアは、楽しくて且つ便利です。思わぬ掘り出し物に出会えるチャンスもあり、買い損ねてそれきりになっていたあの図録との感動の再会もあり・・・何も買わなくても、見ているだけで楽しいです(財布の紐を締めておくのが逆に難しいかも)。木曜日から丸善・丸の内本店4Fギャラリーにて丸の内アートブック・フェスタが開催されます。

丸の内アートブック・フェスタ
2008年7月17日(木)~23日(水)
9:00~21:00 (※最終日は16時閉場)
入場無料

ホームページによると、

「国内外の芸術関連新刊・古書 10,000点を一挙に展示即売いたします。絶版、品切れで入手困難な海外の画集、カタログ・レゾネ、展覧会カタログはじめ、国内有力古書店の参加により、美術はもとより音楽、演劇、文学などの芸術関連古書を多数出品。また、インテリアとして楽しめるキューバ、チェコ、日本のポスター、リーズナブルな版画などもあわせて展示即売いたします。 」
http://www.maruzen.co.jp/Blog/Blog/maruzen02/P/3069.aspxより

リンク先には資生堂のポスターが紹介してありました(NM)。

ART CONNECTED POINT NETWORK

大阪になりますが、『ART CONNECTED POINT NETWORK 
アートと社会の接続点~ゆるやかなネットワークをつくる~』と題して、社会の中でのアート活動の拠点とネットワークについて考える講座が開かれます。
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6回の勉強会と1回のシンポジウムが開かれる予定。

毎回、参加費は無料でレポート提出があるそうです。まるでどっかの小金井の講座みたいですね。笑

2回目にあたる7月25日の勉強会は、『アートと情報』と題して以前ブログでも取り上げた築港ARCが会場になります。

金曜日の夜という、これまたどこかの講座を思わせる時間帯ですが、各回参加もOKだということなので、大阪に立ち寄った際にふらり、なんてこともできるかもしれません。
(でもレポートは出さなきゃいけないわけですが。)

以下、見巧者のウェブサイトより引用。

アートと社会の接続点としての活動や拠点のあり方、そのネットワークが重要な課題であると考え、大阪における取り組みを学びます。現場を訪ね、さまざまな取り組みを聞き取り、ともに考えていきましょう。参加された方には毎回レポートを提出していただき回覧し、それぞれの気づきを共有したいと思います。なるべく続けての参加をお願いしますが、1回だけでも参加可能です。

ちなみに、主催はNPO法人のこえとことばとこころの部屋

先日、このNPOが出しているを注文したら、いっしょにフリーペーパーなどいろんな紙のメディアが送られてきました。

なかなかおもしろかったのですが、そのご紹介はまたこんど、ということで、それではさようなら。(AT)

『舞台芸術のクリティック12―舞台を読む・感覚と思考のレッスン』

ひさしぶりに(そうでもない?)、レクチャー情報です。世田谷パブリックシアターの『舞台芸術のクリティック12―舞台を読む・感覚と思考のレッスン』。全10回。8月から半年ほど続く、批評の実践講座です。実践ということで、書いて、相互にコミュニケーションを取ることも行われるようです。詳しくはこちらを見ていただくとして、ここでは趣旨を少し以下に引用します。

『舞台芸術のクリティック』は、演劇やダンスなどの批評を実践していく講座です。ここで言う「批評」とは、単に作品の良し悪しを裁定したり、芸術をネタにして思想や主張を展開するようなものではありません。他者の表現に接して感じたこと、考えたことを、また別のかたちで、別の他者に向けて発信していく。その営みをひとまず「批評」と呼ぶことにします。もちろん、現代芸術においては創作と批評は表裏一体のものです。創造的な視点で舞台芸術を捉えなおすために、受講者の皆さんの積極的な発言や議論を期待します。

他者の表現に触れ、他者へ向けて発信することが批評である。批評という言葉には、どことなく構えさせられたり、難解さがつきまとうように思いますが、この趣旨を読むと、非常に身近な営みであることに気がつきます。自分の経験を他者へ伝わる「別のかたち」にする。実践してみると、ここが難しい。あ、だから、講座があるんですね(笑。 (SR)

詳しくは↓もご参照ください。
http://setagaya-pt.jp/workshop/2008/08/12.html

講座ノート(第2回)をアップしました!

受講生のメモから出来上がった講座ノート。
6月20日に開催された第2回講座分をアップしました。
講座のおいしいところがぎゅっとつまっています。
第1回分もあります。併せてご覧ください。

講座ノート(第2回)
http://koganeikakukoto.blog70.fc2.com/blog-entry-24.html

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Art Space Tokyo

サイズ、デザイン、手触り。Art Space Tokyoは本という「もの」のもつ魅力に改めて気づかされます。直接ウェブで購入する前に、まず店頭で本書を手に取って、ぱらぱらとページをめくって、確認することをおすすめします。最近では、東京都現代美術館国立新美術館で見かけましたが、洋書なので、一般書店よりはミュージアムショップや洋書に強い書店(紀伊国屋、ABC、丸善)のほうが出会いやすいと思います。

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と、本の外側のことを先に書いてしまいたくなるArt Space Tokyo。内容も充実です。都内12カ所のアートスペースのマップとルート、そして多くのインタヴューが収録されています。本書、序文には以下のような言葉があります。

We believe that art is not just an end goal, but a process involving all manner of people.(私たちはアートを最終的なゴールではなく、あらゆる人々が関わるプロセスだと思っています。)

この言葉が示すように、本書には12のアートスペースに限らず、ウェブサイト、コレクターやキュレーターといった様々な立場の人々のインタヴューが収録されています。登場する人々は刺激的な人ばかり。「90年代以降の東京の現代美術」や「批評やジャーナリズムの現状」などの文章もあわせて収録してあり、通読すると現在の東京の現代美術(Contemporary Arts)を取り巻く状況も理解することができます。というか、それを知りたければ必読の1冊とまで言えるかもしれません。

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文字のレイアウトやマップなど内容面でもデザインが洗練されていますが、アートスペースや登場する人々のイラストにもぐっときます。しっかりした文字情報に、それを伝えるデザイン。本というメディアを通じて表現することの意義を改めて考えさせられます。英語で、しかもインタヴューを含む。その手間を考えると(日本語でアートガイドのような本が増えている状況の中で)もっと日本語でできることがあるのではないかとも考えさせられます。なにより、こういう本をつくったら楽しいだろうなぁ。(SR)

Art Space Tokyo: An Intimate Guide to the Tokyo Art WorldArt Space Tokyo: An Intimate Guide to the Tokyo Art World
(2008/09)
Craig Mod、

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第3回講座、終了!

先週、金曜日に第3回講座が開催されました。

講座は「言葉」→「芸術」→「メディア」と
3つのステップで展開されていますが、
第3回は<「言葉」を意識する>の最終回。

作品化をするための具体的な話となりました。
近日、受講生によるレポートはアップ予定です。
第2回までは既にアップされています)

今回は、講座終了後の1時間で
懇親会も開催されました。

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短い自己紹介に加えて、
それぞれの書きたいテーマも知ることができ、
作品ができあがってくるのが楽しみになりました。

ちなみに作品とは3回のまとめ課題の、
6000字ルポルタージュのことです。

8月後半になるとは思いますが、
ウェブでもアップしていきます。
どうぞ、お楽しみに。

梅棹忠夫『情報の文明学』

今、小林多喜二『蟹工船』が売れています。

最近、こういう言葉をよく目にします。新聞記事になったり、「話題の本」として平積みにされていたり、ポップがついていたり。『蟹工船』の初出は1929年。80年後のリバイバルです。(その辺の経緯はウィキペディアを)。古典はいつ読んでも新しい、と言いますが、このような本には、どの時代の読者の読み方も受け入れる懐の深さのようなものがあるからかもしれません。

情報の文明学

そういう意味では(古典と言うには早いかもしれませんが)梅棹忠夫『情報の文明学』も現在の社会を見通す新鮮な視点を与えてくれる本です。本書は1988年に中央公論社から刊行されましたが、梅棹が20年以上にわたって書いてきた文章が収録されおり、冒頭の「放送人の誕生と成長」は1961年が初出。『情報の文明学』がテレビ業界人=放送人から始まるのは、情報=インターネットになりつつある現在の視点からは、面白いところではないでしょうか。

まったく、放送というのはけったいな仕事である。民放はやはり商売にはちがいないが、いったいなにをつくって、なにを売っているのか。電波をつくって、電波を売っているのであろうが、番組といい、電波といっても、これはまったくふつうの意味でものではない。それは売買の対象は、まったく新型の「なにものか」である、22頁

テレビ放送開始は1953年。1961年ではまだまだ「新型」の産業で「けったいな仕事」。いっぽう、工業製品のような「ふつうの意味でもの」を扱う社会から、そういう視点から見れば「奇怪なる擬似商品」ともいえる情報を扱う社会へ、実感を伴うかたちで進行していった時期だったといえるかもしれません。本書では、そのような社会の変化を、農業の時代、工業の時代、精神産業の時代といった文明史的に位置づけていきます。

またきっかけは放送ですが、情報を「人間と人間のあいだで伝達されるいっさいの記号の系列」と捉える梅棹の論には、宗教から、スポーツ、映画や芝居…人間のさまざまな(ほとんどの?)活動が視野に入ってきます。

このような文明史的に捉える視点の大きさと、具体的に論じる情報産業の定義の幅の広さ。時代を隔てた現在の読者にとっても、実感をもって、多様な読み方ができる本書の懐の広さのゆえんではないでしょうか。

梅棹は本書中で「情報の時代」から一歩進め、以下のように語っています。

情報に関するガイダンスが情報的世界における、ひとつのジャンルを形成しつつある。情報氾濫の時代になれば、なるほど情報の情報が要求されるのである…(中略)…世はまさに、情報の情報の時代である、267‐268頁。

梅棹が「情報の情報の時代」を指摘してから20年が経ちました。テレビだけでなくインターネットも普及しつつあり、情報の氾濫が加速化しているようにも思えます。そんな中でリアルトーキョーのような「情報の情報」サイトもできてきています。立ち上げの動機をリアルトーキョーでは以下のように説明しています。

映画、演劇、ダンス、コンサート、パーティ、展覧会、レクチャー……。東京のような大都市では、毎日数え切れないほどのカルチャーイベントが開催されています。その中から、本当に観に行くに値するものを見つけ出すのは至難の業。「情報過多」と言われて久しいメディア状況が、それに輪をかけているようにも感じられます。

ところが、実際に新聞や雑誌やテレビをチェックしてみると、流れている情報はどこも似たり寄ったり。意外とバリエーションが少ないことがわかります。限りある誌面や放送時間で大多数に受けそうなものを選んでゆくと、自ずと同じようなセレクションになってしまうのでしょう。これにチケットサービスがからむと、ビジネスに直接結びつかないものはどんどん淘汰されるばかりです。

「それってリアルじゃないじゃん」というところから、REALTOKYOはスタートしました。大作映画や大物ミュージシャンのライブもいいけど、単館上映の映画やカルトな小劇場、新人のライブや若手アーティストのグループ展にも行ってみたい。そんな「マス対コア」の揺らぎの中にこそ、リアルなトーキョーがあるんじゃないのか。そういう街に私たちは住んでるんじゃないか、とREALTOKYOは思うのです。
REAL TOKYO| RTって何だ?から抜粋l


梅棹は情報の氾濫の中で「情報の情報」の必要性を指摘しました。現在。情報の氾濫はより大きくなっている中で、本来それへの対処としてあるはずの「情報の情報」の限界をも、リアルトーキョーの動機は示しており(同じようなセレクション、コアの淘汰)、そのゆえ、情報のリアルさを取り戻すというリアルトーキョーの活動は梅棹のいう「情報の情報」のひとつの実践として意義をもっているように思えます。

古典の新しさは、時代を超えて共振するものを与えてくれることと同時に、時代の違いを知ることから、現在を考える視点をも与えてくれます。本書を通じて、今を考えて見るのもいいのではないでしょうか。(SR)

情報の文明学 (中公文庫)情報の文明学 (中公文庫)
(1999/04)
梅棹 忠夫

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シドニービエンナーレ公式ホームページ

ご存知のように、今年の9月から日本、韓国、中国、シンガポール、オーストラリアでビエンナーレやトリエンナーレが開催されます。3ヶ月前のいまは、広報活動がピークの時期だと思い、さっそくこの五都市の公式ホームページを見てみました。

それぞれ面白いホームページが開設されていますが、その中でも特にシドニービエンナーレのウェブサイトに注目したいと思います。公式ホームページ他に、ブログを作るのはもう常識になっている時代ですが、シドニーの場合ブログだけではなく、映像をメインとしているYou tubeと、ファイルの共有ができるFace bookも活用しています。去る5月台湾のある国際音楽イベントに参加したところ、担当者から「これからの音楽イベントの宣伝には、やはりyou tubeを活用しなければならない」という話を聞きました。シドニービエンナーレのウェブサイドを見たとき、もはやアートもyou tubeでアピールする時代になったのかと思いました。現在アップロードされている映像はキュレーター(Artistic Director)とアーティスト6人のインタービューです。ビエンナーレ初心者の興味をひきつけるいいアイディアではないかと思います。

Face bookの利用も面白いです。Face bookは世界的に広がっているコミュニティーサイトです。Face bookを通して、ビエンナーレー・ファンは最新の情報を入手し、またはお互い意見の交流や写真、映像などを共有することができます。もちろん、このサイトでも、上記のキュレーターやアーティストの映像が見られます。You tube やface bookの他にビジュアルアートを学ぶGrade9-12の学生が作成したstudent newsletter(PDF)もあり、毎日開催されている「Ross Gibson, Conversations II, 2008」という作家Ross Gibsonとアーティストの45分間座談会のログも毎日ウェブ上に更新されています。

シドニービエンナーレのサイトからは、あらゆる媒体を駆使した広報活動の勢いを感じただけでなく、「伝える手法」という面からも刺激を受けました。あまりにも情報やイベントの紹介が盛り沢山で、ビエンナーレの本質を見逃したかもしれないと思うこともありますが、重いコンテンポラリー・アートではなく、楽しめるアートを確かに感じさせるものでした。ウェブサイトのトップページにはこのような言葉があります。
“With over 180 artists exhibiting and events most days - there's something for everyone to enjoy in this year's Biennale. So get involved and revel in Sydney's international festival of contemporary art.”
誰でも楽しめるようなビエンナーレになるのでしょうね。楽しみです。(HM)

シドニービエンナーレ(オーストラリア)
http://www.bos2008.com/app/biennale
光州ビエンナーレ(韓国)
http://www.gwangju-biennale.org/
上海ビエンナーレ(中国)
http://www.shanghaibiennale.org/2008/index.html
横浜トリエンナーレ(日本)
http://yokohamatriennale.jp/2008/ja
シンガポールビエンナーレ(シンガポール)
http://www.singaporebiennale.org/
Art Compass 2008
http://yokohamatriennale.jp/2008/ja/
 
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